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最近になって聴いてハマっているJeff Beckの「Led Boots」、よく見ると不思議なタイトルです。Ledという単語は見慣れなくて、最近だと発光ダイオード電球のLEDを思い浮かべてしまいます。

もしくはミュージシャンだとLed Zeppelinでしょう。

Led Zeppelinの名前の由来はいろんなところで紹介されていて、鉛(Lead)の風船をもじって飛行船を意味するZeppelinと合わせて命名したとのこと。Leadだと同じスペルで違う意味を持つ単語(「導く」という動詞)の発音「リード」と呼ばれそうなので、あえてLedにしたのだ、という話になっています。LedはLeadという動詞の過去分詞形でもあるのでそちらでも意味をなすこともある訳で、知る人ぞ知る「実は鉛のことなのだ」という遊び心を感じます。

さて、LedがLead(鉛)だとして、Lead Boots(鉛のブーツ)とはいったい何のことなのでしょう。

Lead Bootsの意味

この表現に似た歌詞を、イギリスのロックバンドThe Whoのナンバー「My Wife」に見ることができます。

Gonna buy a fast car
Put on my lead boots
And take a long, long drive

「鉛のブーツを履いて、車をかっ飛ばす」と歌っていますが、元々英語圏の表現で

(someone) has a lead foot

というのがあり、鉛が非常に重い金属であることを受けて、「足がとても重たいので、アクセルペダルを床に付くまで踏み込む」つまり車ですごいスピードを出すことを表しています。「My Wife」ではそれを足ではなく重いブーツで表現していました。

同じく車を飛ばす歌詞が、「My Wife」より1年前にリリースされたBlack Sabbathの「Iron Man」に登場します。

Heavy boots of lead
Fills his victims full of dread
Running as fast as they can
Iron Man lives again!

Iron Manでは、力の強さと危険の象徴としてLeadが使われているように思います。

タイトルとして

では、Jeff Beck(またはMax Middleton)はLed Bootsというタイトルにしたのでしょうか。

私は、曲の持つスピード感が「床につくくらいアクセルペダルを踏み込む」くらいなのだ、ということを表現しているのだと思います。このドライブ感は、リフそのもののビート感に加えて、途中の7拍子(7/8拍子)による8分音符1つ分の前に突っ込んでいく感じが、「Lead Foot(Boot)」につながっているのでしょう。

別エントリーでHummingbirdの「Got My Led Boots On」がオリジナルで、Jeff Beckの「Led Boots」がそのカバーではないか、と考えたのも、このネーミングにヒントがあるのではと考えています。

「Got My Led Boots On」の歌詞では、ハイスピードではなくダンスを踊るのにカッコつけている男の歌に聞こえます。

7/8拍子のフレーズを入れたのはJeff BeckまたはMax Middleton自身、またはプロデューサーや他のメンバーだったかもしれませんが、「Got My Led Boots On」を進化させ、そのスピード感からタイトルに「Led Boots」だけを付けたのでは、と想像してみました。

最後に、恒例のチャートで締めくくります。

なぜ「Led Boots」というタイトルになったのか

参照サイト

Does “Led Boots” by Jeff Beck have anything to do with Zeppelin? – Led Zeppelin Official Forum : http://forums.ledzeppelin.com/index.php?/topic/12423-does-led-boots-by-jeff-beck-have-anything-to-do-with-zeppelin/

The Who :: My Wife Lyrics – Absolute Lyrics : http://www.absolutelyrics.com/lyrics/view/the_who/my_wife

Iron Man Lyrics – Black Sabbath : http://www.lyricsfreak.com/b/black+sabbath/iron+man_20019426.html

View topic – Led Boots? | TheJapanesePage.com : http://thejapanesepage.com/forum/viewtopic.php?f=31&t=13957


Origin of Led Boots最近になって60年代70年代のロックをよく聴く機会に恵まれ、ロックバンドによるインストゥルメンタルのナンバーが結構あることも知りました。ジャズ、ブルースの流れの中でロックが生まれ、こうしたインストゥルメンタルもとても自然なもののように聞こえてきます。

最近聴いたインストゥルメンタルの中で、Jeff Beckの「Led Boots」はとても印象的でした。変拍子が混じっていて、嵐のようなドラミングのせいでももちろんあるのですが、2つの気になることもその要因です。

1つはカバーというよりはルーツになっていると思われる曲の存在、もう一つはタイトル「Led Boots」の由来です。どちらも長くなりそうなので、2つのエントリーに分けて書いてみようと思います。

2つの「Led Boots」

Jeff BeckのLed Bootsは、アルバム「Wired」のオープニングトラックなのですが、作曲はバンドのキーボーディスト、Max Middletonでした。MaxはJeff Beckのアルバムレコーディングに参加し、Led Bootsを提供していますが、自身のバンド「Hummingbird」でもアルバム「Diamond Nights」の中に「Got My Led Boots On」というタイトルでLed Bootsと同じモチーフの曲を収録しています。HummingbirdのトラックがJeff Beckのトラックと異なるのは

  • ボーカルが入っている。
  • 終始4/4拍子である。

ということでした。

2つの曲を聴き比べて感じたのは、スタイルの違いがあるにせよ、「Got My Led Boots On」より「Led Boots」のほうがより洗練され、進化した作品だ、ということでした。きっとHummingbirdバージョンJeff Beckグループ向けにアレンジし、タイトルもシンプルにしたのだと思っていました。

しかし、それぞれが収録されているアルバムのリリース時期は、

  • 「Wired」1976年5月
  • 「Diamond Nights」1977年

となっており、Jeff Beckバージョンのほうが先なのです。とても意外でした。

オンラインで調べられる情報では、このリリースのタイミングだけでしか判断できない訳ですが、これだとしっくりこないので、私個人の推測による戯れ言を考えたのでした。

仮説1:Hummingbird結成初期のころにすでに録っていた

最初のアルバムは1974年7月リリースされていますが、前年の結成前の前身バンドでの活動中にJeff Beckがセッション参加していたそうです。
 
「Got My Led Boots On」は、そのころにできていて、最初のアルバム制作時にレコーディングもしていたがそのままお蔵入りにしていたけれど、Jeff Beckの「Wired」に「Led Boots」が入ったことをうけて、おもしろがって3枚めに収録したのではないか、と考えました。

仮説2:3枚めのレコーディング期間がとても長かった

Hummingbird2枚めのアルバムは1976年ですが、レコーディング自体は当然リリースより前に完了しているはずなので、3枚めのアルバムのレコーディングは2枚めのリリースのころ、もしかしたら前から始めていたかもしれません。すると、Jeff Beckの「Wired」は1976年5月リリースなので、ちょうど同じ頃にレコーディングをしていたことも考えられます。

中古マーケットで、アメリカA&Mのプロモーション用プレスに1976年のクレジットが入っているようなので、この年の早いタイミングで録音されていたこともあり得ると言えそうです。

仮説3:納得のいくレコーディングまで、のんびりやっていた

「Got My Led Boots On」は結構お気に入りで、それが故に何度もトライしつつも納得のいくレコーディングができなくて、3枚めでようやく収録することができたのかもしれません。仮説1に近い説です。

HummingbirdのメンバーはJeff Beckと縁のあるメンバーが、ちょっとやってみようかと何となく集まって始まったのではと思っているのですが、私にはあまり商業的なガツガツ感よりもサークル活動的な印象なので、自分たちがやりたいことをやりたいように取り組んでいたのかなと想像しています。

この3つの仮説、時間軸のチャートに載せてみるとこんな感じです。

2つの「Led Boots」のタイムライン

 

 

私はネット上の情報しか調べられていないのですが、残念ながらHummingbirdバージョンのほうが先にあった、ということを指し示す記述は見つけられませんでした。ご本人たちに直接確認するすべもないので、あくまでもこれは私の勝手な妄想にしか過ぎないのですが、こうして2つの曲を聴き比べるのもいち音楽ファンとしての楽しみのひとつだと思っています。

参照したサイト

Hummingbird discography – Wikipedia, the free encyclopedia : http://en.wikipedia.org/wiki/Hummingbird_discography

Jeff Beck discography – Wikipedia, the free encyclopedia : http://en.wikipedia.org/wiki/Jeff_Beck_discography

Hummingbird Diamond Nights USA Promo PRESS PACK (497927) : http://eil.com/shop/moreinfo.asp?catalogid=497927

roio » Blog Archive » GO, GO, GO : http://bigozine2.com/roio/?p=793