8月20日(土)は、お台場近くにあるディファ有明でマーチングイベントがあった。いや、コンサートと言ったほうが正しいでしょう。
横浜インスパイヤーズといえば、私が高校生のころは、打楽器総合パンフレットの最後にメーカー楽器利用団体として写真で紹介されている、なんか関東にあるすごいバンド、という印象でした。大学に進んで、自らもマーチングを始めると、社会人バンドで、やたらスパニッシュなやつら、という話を聞いたことがあり、関東の大学では、卒業後インスパでマーチングを続ける人もいる、なんてことをバンドフェアなどで聞いたりしていたのですが、実際の演奏を聴いたのはずいぶん後になってからのことでした。
さて、先日のイベントは、ディファ有明というイベント会場で行われ、ほかの興行としてはプロレスなんかが開催されたりといった、ちょっとマーチングのコンサートとは縁遠い感じのする場所です。
会場入り口前には、ファーストフードのスタンドもあって、イベントのワクワク感を演出しているようでもありました。
コンサートは途中休憩を挟んだ2部構成になっており、舞台セットはステージ中ほどに5段くらいの階段による高くなった部分と、さらにその奥には高さ3~4メートルほどの高い段があり、そこに鍵盤楽器やティンパニ、ドラムセットなどが配置されていました。その高い段の下には2つの通路が確保されていて、そこからと、舞台両サイドからプレイヤーが出入りするという演出になっていました。ソリストやビジュアルだけでなく、プレイヤーたちも入れ替わり立ち替わりステージへの出入りをおこなっていました。
演奏が始まり、第1部の前半部分は、正直なところ「ウォーミングアップ代わり?」という風にも見えました。バンド全体でのtuttiの音量が、ビューグルらしからぬ感じだったのでした。ブラスの各ソリストも、まだ音が抜けてない感じがして、逆にその日2回目のショーだったので、そのせいなのかもしれません。
そんな中、私から見てとてもよかったのがカラーガードでした。カラーガードチームのみでのレパートリーでは、ダンスやウェポンの表現がとても豊かだったのと、オールフラッグの演技が見事でした。また、コンサートを通して、ドロップがとても少なかったように思います。ウェポン系のドロップがほんの数回、フラッグは1回あったかな、程度だったと思います。ガードのみのショーで使われてた曲、まだ頭の中に残ってます。もしかして以前どこかが使ったのかもしれませんね。(>selenさん、ご存知?)
いわゆるpit percussionは、鍵盤楽器含め、PAを通していましたが、できれば鍵盤系はPAなしでも聞こえるくらいの音量が欲しかったと思いました。PA経由で聴くと、ダイナミクスがなくなってしまって聞こえるように思います。その点、ハンドドラム系はいい感じでした。南アジアからアラビア系のリズム感と音楽が、あの会場全体を不思議な雰囲気に包んでくれてました。
ブラスは、途中途中で、見せ場(聴かせ場?)でビューグルらしい、きらきらとした感じの音色でひと塊でドーンと来る感じの場面が何カ所かあり、とても心地よい瞬間を堪能できましたが、実際にはもっともっと多くのそんな場面があったはずではと思います。
メインのCUBAとアンコールの曲では、そういうバンドの一体感のある音楽が聴けて、とても充実していました。アンコールの曲は、レパートリーにいれてもよかったのでは、と思うくらい。
しかし、コンサート全体を通して感じたのは、ちょっと稚拙な感じというか、学祭の印象がありました。おそらくその原因は、客席から飛ぶ声援のクオリティだったのではと思います。
やっぱり聴衆として、声援を贈るのはそれはそれで会場全体の盛り上がりに結びつきますが、いい演技に対して、もっと大きな拍手や声援を贈れていれば、途中にある個人的な黄色い歓声や仲間内だけの盛り上がりをかき消してくれていたでしょう。
あとは、会場(ホール)の音響が、音楽イベント(とくに生の楽器、ビューグルとか?)に向いていないのかもしれません。あそこまで奥行きのない音になってしまうということでいうと、今後の場所選びでは、もう少し選り好みをしてもいいと思いました。
レパートリーは、渋い曲が多かったように思います。知らない曲もたくさんあったので、ぜひselenさんには、曲名を披露していただけるとうれしいです。(^^) 横浜インスパイヤーズのカラーが、レパートリーにでているんだと思いました。
MMはとても洗練されているというか、よく練習していることが伺えました。メンバー全体では比較的若い印象があったのですが、よくそろっている演技だったと感じました。その一方で、コンテの動きが、全体的に小さかったのが残念です。さまざまな制約があるので、ステージ上に乗っているプレイヤーの数によってはコンテを書くのにとても苦労されたのではと想像しますが、全般的に歩幅が狭い動きが多いように思いました。
ともあれ、あの距離で横浜インスパイヤーズの演奏・演技を1.5時間も楽しめたのはとてもよかったことはいうまでもありません。普段は体育館などで遠く離れた、ちょっと上の方から見る感じですが、プレイヤーの動きと生の音を感じられるこのライブ、今後もとても楽しみです。また来年の冬に予定されているそうですので、お邪魔できたらいいなと思っています。