お気楽Music Blog

私の周りにある音楽たち

falcon の投稿をブラウズ中…

[`evernote` not found]
LINEで送る

期間限定での上映「This is it」を先日見てまいりました。本番直前に急死したMichael Jacksonのリハーサルなどの風景をまとめた映画で、ドキュメンタリーでもあり、フィルムコンサートのようでもある作品です。 死について一切触れず、ただマイケルのパフォーマンスのドキュメンタリーとして仕上がっているところが、映画全体を通して輝いているのだと思います。そしてスクリーンには、マイケルの情熱と他人に対する感謝の気持ちが、自然な姿で描かれていました。 一番印象に残ったのは、「Human Nature」のシーンでした。スタジオリハーサルでの様子は、ミュージシャンとしてのマイケルが、ホールリハーサルでのパフォーマンスは、全ての才能を注ぐマイケルが見られます。過去のHNの映像をいろいろ見てみましたが、色あせることなく、マイケルの情熱が込められた、パワフルなパフォーマンスです。 このHNは、多くのミュージシャンにカバーされていましたiTunesのストアを検索すると、たくさんヒットし、ほとんどがマイケルの「Human Nature」です。ポップ、ダンス、レゲエ、ボサノバ、ジャズ、テクノ、ピアノアレンジ、さまざまなスタイルで引き継がれています。 TOTO、マイルスデイビスとのつながりは興味深いです。作曲、レコーディングミュージシャンにTOTOメンバーが参加しています。マイルスは、あるアルバムでカバーを収録して以来、ライブでの定番ナンバーになったそうです。 私自身が「Human Nature」に出会ったのは、この映画だと思いつつ、途中の高音のボーカルに聞き覚えがありました。「Human Nature」のことを調べているうちに、その答えに出会えました。 「Right Here」という曲のなかに、サンプリングされていたのを聞いていたのでした。映画Free Willyの挿入歌にもなったこの曲は、ラジオやミュージックチャンネルでよく流れていたのです。歌っているのはSWVという女性ヴォーカルグループで、プロデューサーTeddy Rileyつながりで、2曲のカップリングが実現したそうです。
[`evernote` not found]
LINEで送る

以前、同じ内容でエントリを書いたのですが、サーバトラブルで消失してしまいました。自分でもなかなか面白い内容だったと思っていたので、改めて再投稿することにしました。 ミュージカル「RENT」の曲で「Over the Moon」というのがあります。この曲は、他のRENTの曲と比べてもかなり変わっていて、ホームレスの立ち退き処置に対する抗議パフォーマンスとして演じられます。抗議パフォーマンスということから、その歌詞の内容には皮肉の表現が含まれていて、その場に来た元ルームメイトで今は立ち退き推進側にいるBennyのことを「ラップドッグ(lap dog)」と呼ぶところなどがあります。 「Over the Moon」の歌詞には、いくつかのキャラクターが登場します。 ・雌牛のエルシー ・ブルドッグ(犬)のベニー ・お皿 ・スプーン 歌は、パフォーマーのMaureenが雌牛のエルシーに乗って、月を飛び越えるぞ、という歌詞につながっていき、最後には観客に「モー!モー!」と叫ばせる展開になります。 この、一見何の脈略もないように見える歌詞ですが、元ネタがマザーグースにありました。子守唄として語り継がれていた曲「Hey Diddle Diddle」で、ウィキペディアによるとほとんどの場合の歌詞は次のようなものだそうです。 http://en.wikipedia.org/wiki/Hey_Diddle_Diddle

Hey diddle diddle, The cat and the fiddle, The cow jumped over the moon, The little dog laughed to see such sport, And the dish ran away with the spoon.

この歌詞を紹介している日本語サイトもあります。 http://mother-goose.hix05.com/Mg3/mg081.violin.html

ぼろろん ぼろろん ネコとバイオリン 牛がはねて月を超えた ちびっ子ワンちゃんが それを見て笑った お皿とスプーンも飛んでった

マザーグースの多くの詩(歌)は、もともと意味のないものが多く、音の響きが楽しいもの、として作られているそうです。しかし、この「Hey diddle diddle」には背景があるよ、といわれていました。 ・4月の星座説 http://www.worldfolksong.com/kids/song/hey_diddle.htm

登場するキャラクタが星座を暗示しており、これらの星座がそろうのが4月ということで、農作物に関する教えでは、というものだそう。

・エリザベス女王のスキャンダル説 http://www.absoluteastronomy.com/topics/Hey_Diddle_Diddle

猫:エリザベス女王 犬:ロバート・ダドリー 皿:宮廷の給仕 スプーン:味見担当 であるとし、給仕と味見担当が駆け落ちしたときに、捕らえて塔に幽閉した、というエピソードをうたったもの、という説です。

・リチャード三世の王位継承ストーリー説 http://www.absoluteastronomy.com/topics/Hey_Diddle_Diddle

登場人物それぞれ誰かはなじみもないので割愛しますが、牛、月、犬はそれぞれの家紋で、皿はリチャード三世自身、スプーンは王位継承の式典で使われるスプーンだそうです。

*** さて、このマザーグースの詩ですが、トールキンが書いた「指輪物語」の中に同じような詩が出てくるのだそうです。 「The Fellowship of the Ring」の途中、ブリー村の跳ね子馬亭の酒場のシーンで、フロドがテーブルの上に上がったときに周りから歌えといわれ、以前ビルボが好きだった 「The Man in the Moon Stayed Up Too Late」という歌を歌う、というシーンが出てきます。(映画では残念ながら歌うシーンはありませんでした。) その歌が、どうやら「Hey Diddle Diddle」をベースにしたようで、猫、犬、牛、皿、スプーンが登場します。 http://lotr.wikia.com/wiki/The_Man_in_the_Moon_Stayed_Up_Too_Late

The landlord keeps a little dog that is mighty fond of jokes; When there’s good cheer among the guest, He cocks an ear at all the jests And laughs until he chokes. They also keep a horned cow as proud as any queen; But music turns her head like ale, And makes her wave her tufted tail and dance upon the green. And O! the rows of silver dishes and the store of silver spoons! For Sunday there’s a special pair, And these they polish up with care on Saturday afternoons.

RENTと指輪物語、意外なところで接点がありました。音の響きと内容のハチャメチャさが、ジョナサン・ラーソン、J.R.R トールキンが自分の作品の中のそれぞれのシーンでぴったりくるものだ、と感じたのだろう、と想像しました。