アダムパスカル(Adam Pascal)とアンソニーラップ(Anthony Rapp)。ミュージカルRENTが好きな人なら、間違いなくこの二人の名前を知っているはずです。初演のキャストメンバーの一員だった二人で、劇中の2役のイメージを作った人たちでもあります。
RENTでの活動後は、それぞれ音楽や舞台を続けていましたが、二人そろっての来日ライブが初めて実現しました。アダムはピアニストとのユニット、アンソニーはバンドとともにステージに立ちました。ゲストとして、同じくブロードウェイの舞台で活躍し、RENTの来日ツアーでアダム、アンソニーと共演した高良結香さんも、今回のライブステージに立ちました。
東京公演の初日のステージを青山劇場でみたわけですが、期待以上のすばらしい公演でした。アダムもアンソニーも、それぞれのオリジナルとカバーを織り交ぜてのセットリストになっており、二人の魅力や方向性が出ているパフォーマンスだったと思います。
アダムが歌った、ミュージカル曲のアレンジは、オリジナルの原型をとどめていないくらいのものもあり、プロデューサー的な活動も今後していくのでは、と感じました。アダムが選んだレパートリーのうち、変拍子のものが多かったと思います。6/8拍子なども含む3拍子が数曲に、7拍子の曲もありました。アンコールで歌った「One Song Glory」も単純な4拍子というよりは12/8拍子を感じながら聴いていました。
アンソニーは、ストレートなロックスタイルの曲を中心に、ミュージカルファンへのプレゼントのように「Without You」などカバー曲をいくつか織り交ぜたステージでした。アップテンポのビートがきいた曲のときは、本当は客席にちーんと座っておらず、立ち上がって踊りながら楽しめたらよかったと思います。
二人共通して歌ったのは、RENTのオーディションのときに歌ったナンバーで、ライブならではの選曲だったと思います。
ミュージカル経験者だからなのかもしれませんが、アダムもアンソニーも声量がすばらしく、PA経由ではあるけれど、とても圧倒されるものでした。
初日のステージを観て感激し、会場内で最終日のチケットを購入し、もう一度二人のパフォーマンスを堪能いたしました。最終日のほうは、アダムが初日に比べて一曲少なかったように思います。高良さんのステージも、MCが短めになっていたように思うので、おそらく全体の時間調整が必要になったのでしょう。最終日ということで、アンコールも厚めに、としたのかもしれません。
あと、最終日にはアンソニーの日本語がよりわかりやすくなっていました。ある曲紹介で「ストーカー」のことを話すのですが、初日は英語発音だったのが、最終日はカタカナ発音になっていて、おそらくほとんどの観客が正しく聞き取れたと思われます。
今後もぜひ、来日公演を継続してもらいたいと思っています。ミュージカル好きだけでなく、より幅広い音楽ファンを魅了してくれることでしょう。